― エンドルフィン系(内因性オピオイド)の活性化 ―
エンドルフィンって何?
人間の脳の中でつくられる“天然の鎮静物質”。
正式名はβ-エンドルフィン(beta-endorphin)。
「脳内麻薬」と呼ばれることもあるけど、怪しい話ではなく、
れっきとした脳のホルモン系の一部だ。
主な働きは3つ:
1️⃣ 痛みを和らげる(鎮痛作用)
2️⃣ 気分を落ち着かせる(抗ストレス作用)
3️⃣ ホルモン分泌を調整する(視床下部へのフィードバック)
鍼でエンドルフィンが増える理由
鍼を刺すと、皮膚・筋膜の神経受容器が刺激され、
その信号が脊髄 → 視床下部へ伝わる。
視床下部は「これは過度の痛みやストレスじゃないな」と判断し、
β-エンドルフィンを放出して鎮静モードに切り替える。
このエンドルフィンは、
視床下部だけでなく下垂体・中脳・大脳辺縁系にも作用し、
ホルモンのバランスを司る“マスター調整ホルモン”のような働きを見せる。
研究で示されていること
| 研究 | 内容 | 結果 |
|---|---|---|
| Ulett et al., J Altern Complement Med 1998 | 鍼後の脳脊髄液分析 | β-エンドルフィンが有意に上昇 |
| Han JS, Neurosci Lett 2004 | 電気鍼の周波数別効果 | 2Hz刺激でエンドルフィン・エンケファリン↑、100Hzでダイノルフィン↑ |
| Stener-Victorin et al., Am J Physiol 1999 | PCOSラットモデル | 鍼刺激により視床下部のβ-エンドルフィン↑ → LH過剰抑制、排卵回復 |
🧬メカニズムの流れ
鍼刺激(皮膚・筋膜)
↓
求心性神経 → 視床下部
↓
β-エンドルフィン分泌↑
↓
・GnRH放出抑制(LH過剰を防ぐ)
・コルチゾール低下(ストレス抑制)
・痛み・不安軽減
つまり、「鍼=脳内エンドルフィンを増やして、ホルモンとストレスの両方を整える」。
🧘♀️臨床でどう活かせる?
- PMS・月経痛:β-エンドルフィン↑で鎮痛・リラックス
- 更年期・自律神経失調:セロトニンとの相互作用で気分安定 ※セロトニンは脳内で「安心・穏やか・落ち着き」を司る物質。
- 不妊症・排卵障害:LH(黄体形成ホルモン)抑制・排卵周期の正常化
- 慢性ストレス・不眠:HPA軸の鎮静で眠りの質改善
エンドルフィンとホルモンの関係図
| 分泌部位 | 働き | ホルモンへの影響 |
|---|---|---|
| 視床下部 | GnRH抑制 | LH・FSHバランス安定 |
| 下垂体 | ACTH抑制 | コルチゾール過剰防止 |
| 大脳辺縁系 | 情動安定 | セロトニン・ドーパミン正常化 |
わかりやすく言うと…
β-エンドルフィンは、体の「お疲れさまホルモン」。
鍼はそれを自然に増やして、
過剰なストレスやホルモンの乱れを“なだらかに戻す”よう働く。
だから、生理前のイライラも、
「根性で我慢」じゃなく「神経から穏やかにリセット」できるんだ。
💬まとめ
✔ 鍼刺激は脳のβ-エンドルフィン分泌を増やす
✔ エンドルフィンがGnRH・コルチゾール・セロトニンを調整
✔ PMS・月経痛・更年期などに有効性が示されている
✔ 副作用がほぼなく、自然なホルモンリセット療法
リハりんよりひとこと
リハりんでは、ストレス性の月経不順や
「生理前の不安感・落ち込み」に対しても、
β-エンドルフィンの反応を意識した穏やかな鍼刺激を行っています。
焦らず、整える。
それがホルモンを味方につける一番の近道です。


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