― 視床下部‐下垂体‐卵巣(HPO軸)への作用 ―
そもそもHPO軸って何?
ホルモンのリズムを作っている“司令回路”のこと。
- Hypothalamus(視床下部)
- Pituitary(下垂体)
- Ovary(卵巣)
この3つがリレーのように働き、
エストロゲン・プロゲステロン・LH(黄体形成ホルモン)・FSH(卵胞刺激ホルモン)などを調整して
「月経周期」「排卵」「気分」「体温」をコントロールしている。
🧠 脳がホルモンを決めている
ホルモンって“女性ホルモン=卵巣が出してる”と思われがちだけど、
実は上流にいるのは脳の視床下部。
この視床下部が「いま出せ」「もう止めろ」と指令を出す。
そのスイッチを押す刺激の一つが――鍼だ。
鍼刺激で起きること
鍼刺激(特に三陰交・太衝など)で皮膚や筋の神経受容器が反応すると、
求心性神経がその信号を脊髄 → 視床下部へ送る。
視床下部では以下のような連鎖が起きる:
- 鍼刺激 → 神経入力 ↑
- 視床下部のβ-エンドルフィン分泌 ↑
- その結果、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)のリズムが調整される
- 下垂体が出すLH(黄体形成ホルモン)・FSH(卵胞刺激ホルモン)が整い、
- 卵巣のエストロゲン・プロゲステロン産生が安定
つまり、鍼は“ホルモンの司令塔”を再チューニングするわけ。
研究で分かっていること
| 研究 | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| Stener-Victorin et al., Am J Physiol 1999 | PCOSラット | 電気鍼でβ-エンドルフィン↑、LH過剰分泌が正常化 |
| Johansson et al., Fertil Steril 2013 | 排卵障害女性 | 鍼でLH/FSH比が正常化、排卵率上昇 |
| Liu et al., Front Neurosci 2018 | fMRI研究 | 鍼刺激後、視床下部の血流・神経活動が安定化 |
つまりどういうこと?
生理前や更年期に「気分が乱れる」「周期がズレる」のは、
視床下部がホルモンのリズムを上手く制御できていない状態。
鍼はこの視床下部に“再起動信号”を送るような働きをし、
全体のホルモンリズムを滑らかに戻してくれる。
💬まとめ
- HPO軸=ホルモンの司令塔ネットワーク
- 鍼刺激は視床下部に届き、ホルモン放出のリズムを整える
- 結果、月経周期・排卵・気分の波が安定する
- 特に三陰交・太衝・気海などが有効
リハりんより
PMS・排卵障害・更年期など、ホルモンに関係する症状には
「体の外からホルモンを入れる」よりも、
「体の中の司令塔を整える」ほうが自然で副作用が少ない。
鍼はまさに“中枢から整えるスイッチ”です。


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