【第3回】鍼がホルモンを整える理由③

ホルモン

― 自律神経トーンと血流による内分泌調整 ―


ホルモンと血流はセットで動いている

ホルモンの分泌や調整は、実は「血流の質」に大きく左右される。
脳も卵巣も、血液を通してホルモンの指令や栄養を受け取っているからだ。

もし交感神経(緊張モード)が優位すぎると…

  • 血管が収縮
  • 子宮・卵巣の血流が低下
  • ホルモン産生が鈍る

つまり、ホルモンの問題の裏には、自律神経のアンバランスと血流の悪化が潜んでいる。


鍼が整える“自律神経トーン”とは?

“トーン”=神経の「基礎的な張り具合」。
言い換えると、自律神経がどれくらい働きすぎてるかを示す。

  • 交感神経トーン↑ → 血管収縮・緊張・冷え・不眠
  • 副交感神経トーン↑ → 血管拡張・リラックス・消化促進

鍼刺激によって、このトーンが**適正化(リバランス)**される。
つまり、「戦うモード」から「回復モード」へシフトできる。


科学的な裏付け

研究内容結果
Kim et al., Auton Neurosci 2018鍼刺激後の心拍変動(HRV)解析副交感神経活動↑、交感神経活動↓
Wang et al., Am J Chin Med 2016下腹部血流をLDFで測定子宮・骨盤周囲の血流↑
Napadow et al., Am J Physiol 2009脳の自律神経中枢をfMRI観察鍼刺激で延髄・視床下部の活動が正常化

これらの結果から、鍼が「自律神経を介して血管を拡張し、ホルモン分泌臓器の血流を改善」することがわかっている。


メカニズムの流れ

鍼刺激
 ↓
皮膚・筋の感覚受容器が活性化
 ↓
求心性神経 → 延髄・視床下部
 ↓
交感神経活動↓ 副交感神経活動↑
 ↓
血管拡張・骨盤血流↑
 ↓
卵巣・子宮のホルモン産生安定

つまり鍼は、「血の流れ」を通して「ホルモンの流れ」を整える。


臨床で見られる変化

  • 手足の冷えが軽減
  • 下腹部の張り感・生理痛の緩和
  • 月経周期の安定化
  • 睡眠・食欲・集中力の改善

特に三陰交(SP6)・関元(CV4)・気海(CV6)・太衝(LR3)は、
自律神経と骨盤内血流のダブルで整えるツボとして頻用される。


研究での興味深いポイント

  • 鍼刺激後、卵巣動脈の血流速度が上昇(Stener-Victorin et al., 2006)
  • 交感神経の過剰放電が抑制される(Li et al., J Endocrinol 2013)
  • 子宮内膜の厚み改善 → 妊娠率上昇という報告も(Paulus et al., Fertil Steril 2002)

これらはPMS・更年期・不妊すべてに通じる生理学的メカニズムだ。


💬まとめ

✔ 鍼は交感神経を落ち着かせ、副交感神経を高める
✔ 血管拡張と骨盤血流の改善によりホルモン臓器が活性化
✔ PMS・更年期・不妊・冷え性に有効
✔ 「神経を整えて血を流す」=根本的なホルモンケア


リハりんより一言

「ホルモンの乱れ」と聞くと、
つい“ホルモンそのもの”に目が行きがちですが、
実際は“血流と神経の通り道”を整えることが第一歩です。

リハりんでは、鍼で「流れ」と「リズム」を取り戻すケアを行っています。
焦らず、整える。体が先、ホルモンは後からついてくる。

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