SCMテスト(胸鎖関節モビリティテスト)とは?

疼痛

投球障害肩の評価に欠かせない触診検査を徹底解説

「肩が90度以上上がらない」「投げると肩が痛い」——そんな悩みを抱える患者さんの原因を的確に見つけるための評価法のひとつが「SCMテスト(Sterno-clavicular Joint Mobility Test)」です。

この記事では、SCMテストの目的・検査手順・陽性所見の意味、そして臨床的な改善策までをわかりやすく解説します。

胸鎖関節とは?肩の動きへの影響

肩甲骨は鎖骨を介して体幹と連結しており、スムーズな肩の動きには「胸鎖関節」と「肩鎖関節」の可動性が不可欠です。

特に重要なのが胸鎖関節の動き。胸鎖関節が固定されると、肩の挙上角度が約90度に制限されるという報告があります。腕が耳の横まで上がらない問題の根本が、胸鎖関節にあることも少なくありません。

ポイント:胸鎖関節が固定されると肩挙上が90度に制限される

SCMテストとは

SCMテスト(Sterno-clavicular Joint Mobility Test)は、肩関節を挙上する際の胸鎖関節の運動機能を評価するために考案された触診検査です。

胸鎖関節の動きを直接触れながら確認することで、肩甲骨の機能を間接的に評価できます。特に投球障害肩(野球肩)の診断・評価において重要な指標とされています。

検査方法(ステップバイステップ)

以下の手順で行います:

STEP 1 患者さんの姿勢:立位または座位で、リラックスした状態にします。

STEP 2 検者の触診ポジション:検者は人差し指と中指を両側の胸鎖関節(鎖骨の近位端)に置きます。

STEP 3 動作の指示:患者さんに両肩を同時にゆっくりと最大前挙(万歳動作)させます。

STEP 4 鎖骨の動きを確認:挙上時に起こる鎖骨の「上外方への移動」と「後方回旋運動」を指先で確認します。

STEP 5 左右差を判定:非投球側に比べて投球側の鎖骨の移動・回旋が明らかに小さい場合、陽性と判定。半横指(約5mm)以上の高位差・移動差が目安です。

正常(陰性)と陽性の違い

 正常(陰性)陽性
鎖骨の動き挙上90度付近から上外方へ移動し後方回旋する90度以上挙上してもほとんど動かない
肩甲骨の動きスムーズに上方回旋する代償動作(肩すくめなど)が出やすい

臨床的な意義と陽性率

研究によると、投球障害を持つ選手の85%がSCMテストで陽性反応を示したと報告されています。これは非常に高い数値であり、投球障害肩の評価における本テストの重要性を示しています。

他の機能テストとの関連

SCMテストが陽性の症例では、以下のテストも高確率で陽性となることが確認されています:

● 肘伸展テスト(ET):腱板機能の低下を評価

● 正拳テスト:肩甲骨の安定性・機能低下を評価

つまり、胸鎖関節の可動制限は単体の問題ではなく、腱板・肩甲骨全体の機能低下と連動していると考えられます。

可動制限の原因と改善策

直接的な要因

● 鎖骨下筋のタイトネス

● 肋鎖靭帯のタイトネス

間接的な要因

● 肋間筋のタイトネス

● 肋椎関節の拘縮

● 胸郭全体の柔軟性低下

効果的な改善アプローチ

胸郭の柔軟性を向上させることが、SCMテストの改善に直結します。特に有効とされているのが「ストレッチポールを用いた胸郭ストレッチング」です。

ストレッチポールによる胸郭ストレッチングの効果● 鎖骨下筋・肋鎖靭帯の柔軟性向上● 胸郭の可動域拡大● SCMテストの陰性化(改善)● 間接的に肩甲骨の運動性が向上する

まとめ

SCMテストは、胸鎖関節の可動性を触診で評価するシンプルながら臨床的に価値の高い検査法です。特に投球障害肩において高い陽性率を示し、腱板や肩甲骨機能の評価とも密接に関わっています。

胸鎖関節の可動制限が疑われる場合は、胸郭の柔軟性改善(ストレッチポールなど)を取り入れることで、肩関節全体の機能回復につながります。

肩のリハビリでお悩みの方、投球障害でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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