「なんか最近、首が重い」
「肩こりが前より増えた」
「写真を撮られると姿勢が悪く見える」
心当たりがある人、原因は前方頭位(Forward Head Posture:FHP)かもしれません。
いわゆるストレートネック・スマホ首とも呼ばれる状態です。
実はこの姿勢、ただのクセではありません。
首・肩・頭痛・呼吸・睡眠・疲労感、全部つながっています。
放置すると、時間とともに悪化します。
でも安心してください。
科学的に効果が証明されている方法があります。
しかも、特別な器具はいりません。
■ 前方頭位(スマホ首)って何?
正常な姿勢では、横から見たとき耳の穴は肩の真上にあります。
しかしFHPでは、頭が前にズレた状態です。
論文では、頭が1cm前に出るごとに首への負担は約4.5〜5kg増えると言われています。
つまり、5cmズレている人は、頭の重さ+約25kgを常に支えている状態。
そりゃ首も肩も悲鳴をあげるわけです。
(※これ、患者説明すると全員震えます)
■ なぜ起こるのか?
理由はシンプル。
使いすぎる筋肉(=硬くなる筋)
胸筋 首の前の大きな筋肉(胸鎖乳突筋:SCM) 肩甲挙筋
使わなくなる筋肉(=弱る筋)
深部頸部屈筋(長us colli/longus capitis) 肩甲骨を正しく支える筋肉(中・下部僧帽筋、前鋸筋)
つまり、
硬いところは硬すぎて、弱いところはサボりすぎている。
だから鍛えるか伸ばすか、片方だけでは改善しません。
このバランスの乱れこそFHPの本質。
■ 最新研究レビューの結論(重要)
2025年発表の36研究を統合したシステマティックレビューでは、
FHP改善に最も効果があったのは
「ストレッチ+筋力強化の併用」
だと結論付けています。
単独介入より改善幅が明確に大きかった、と。
具体的には、
CVA(前方頭位の角度) 8〜15°改善 痛みスコア(NDI)最大35%改善
という現実的で確かな変化。
■ 改善に必要な2つのステップ
短縮している筋をゆるめる(ストレッチ)
①大胸筋・小胸筋
猫背・肩巻き姿勢の原因
30〜45秒×3
②胸鎖乳突筋(SCM)
頭を前に引っ張る
左右30秒
③肩甲挙筋
肩こりトップ3の常連
左右30秒
研究でも、この30〜45秒保持×3セットが最も効果的。
弱くなっている筋を鍛える(アクティブエクササイズ)
①深部頸部屈筋 (Longus colli/capitis)
頭を正しい位置に戻す唯一の筋
②肩甲骨安定化筋(前鋸筋・中/下部僧帽筋)
首への代償を減らす
特に深屈筋トレは、研究では20〜30mmHgのbiofeedbackを使う方法が最も効果的とされています。
■ じゃあ具体的に何をすればいい?
1日10分。これだけやればOK
①胸筋ストレッチ(壁・ドア)
1.5分
やり方
- ドアの縦枠に腕(肘90°)を当てる
- 体を反対方向へ軽くねじる
- 胸が引き伸ばされる感覚で止める
- 呼吸は止めず鼻から吸って口からゆっくり吐く
②首の側屈・回旋ストレッチ(SCM/肩甲挙筋)
2分
肩甲挙筋ストレッチ
- 片手を腰の方に回し、肩甲骨を下げるようにする
- 反対側に軽く側屈→少し前に倒す(斜め前倒し)
- 片手を頭に軽く添える(押さない)
→ 左右 30秒×1
胸鎖乳突筋ストレッチ
- 胸を軽く張る
- 胸骨の部分に手を置いて下に引っ張る
- 上を向いたり、横に倒したり、右左を向いたりなど
→ 左右 30秒×1
③Chin tuck(深屈筋)
2分
やり方
- 背筋を伸ばす
- 指2本を顎に添える
- 顎を真後ろへ引く(=二重あご方向)
- そのまま軽くうなずくように 10秒キープ
- 10秒×6〜8回
④肩甲骨リトラクション(バンド・自重)
2分
やり方
- 両肘を体側にセット
- 肩甲骨を後ろ→下へスライド
- 背中で「🔻(下向き三角形)」を作る感覚
→ 8〜12回 ゆっくり
⑤壁スライド or Serratus punch
2.5分
- 前腕を壁に添える
- 肩甲骨を背中に張り付けたまま上へスライド
- 最上で軽く前(Protraction)へ押す
→ 10〜15回
流れは必ず、
ゆるめる → 入れ直す → 姿勢統合
の順。
これは運動科学でも治療でも鉄板ルール。
注意!
痛みが出るような運動やストレッチは中止しましょう。あくまでも痛みが出ない範囲でやります。
■ どれくらい続ければいい?
研究では、最も改善が大きかった条件は:
期間:6〜10週間 週:3〜5回 セット数と時間ルールは上記通り
習慣化できれば、さらに良い。
■ やる前とやった後の違いは?
改善するとこんな変化が起きる。
✔ 首のだるさが消える
✔ 呼吸が深くなる
✔ 肩こり減少
✔ 頭痛改善
✔ 姿勢が若返る
✔ 疲れにくくなる
研究では呼吸機能・睡眠まで改善した報告も。
■ 最後に
FHPは放置すれば悪化する姿勢障害です。
でも、
正しい方法で取り組めば改善する。
変わらない人の共通点は、
方法ではなく——
「継続しない」だけ。
今日から10分。
未来の肩・首・姿勢・呼吸・睡眠、全部変わります。

