― 最新メタ解析10本(1,019名)から読み解く科学的根拠 ―
「骨盤がズレてる気がする…」
「立つとき、片側だけ抜けるような感じがする」
「整体に行ってもすぐ戻ってしまう」
仙腸関節(SIJ)のトラブルは、地味に辛いくせに、治りにくい。
その理由は、SIJが “ガッチガチに固定され、血流が乏しい関節” だから。
じゃあ、鍼はこの厄介な関節に本当に効くのか?
答えはシンプルだ。
科学的に“効く”と証明されている。
今回紹介するのは、
仙腸関節のズレ(malposition)に対する鍼治療の臨床試験10本をまとめた最新のメタ解析。
結果ははっきりしている。
【結論】
鍼は、徒手よりも“痛み・機能・関節位置”すべてを改善する。
数字で見るともっと分かりやすい。
研究でわかったこと
今回のメタ解析では、治療群の中に
鍼単独 鍼+標準治療 の研究が複数あり、この部分だけ取り出しても 明確な効果 が出ている。
■① 痛み(VAS):平均 −1.56点
臨床的に「だいぶ楽になった」と感じるレベル。
徒手より明確に改善幅が大きい。
■② ADL障害(ODI):平均 −6.0
日常生活の
起き上がり 歩行 立ち座り などがしやすくなる。
■③ 仙腸関節そのもののズレが改善
鍼単独の研究で、
仙腸関節のmalposition index が徒手より明らかに改善していた。
つまり、鍼は 周囲の筋・靭帯を緩めるだけじゃなく、関節位置そのものに作用する。
【なぜ鍼でSIJのズレが改善するのか?】
鍼の強みは、3つ。
① 深部の神経興奮を落とす
仙腸関節周囲には
後枝 仙骨孔から出る神経 が密集している。
ここに鍼刺激が入ると、
内因性オピオイド ↑
セロトニン ↑
侵害受容ニューロンの興奮 ↓
→ 痛みが下がる。
② 血流が上がる → 修復スピードが上がる
SIJはもともと血流が少ない。
だからこそ、鍼の
微小損傷、血流改善、局所代謝改善
がめちゃくちゃ相性が良い。
結果、周囲の靭帯・筋膜の固まりが緩み、
“戻しやすい状態”が作られる。
③ 靭帯・筋膜の緊張が抜け、関節位置が整いやすい
SIJがズレる原因のほとんどは、
後仙腸靭帯の緊張
殿筋群のガチガチ
梨状筋のスパズム
ここがロックしているから。
鍼はこれを 生理的にゆるめる ことができる。
機械的に切るわけじゃないが、
筋膜と靭帯の“反射的な緊張解除”が起こる。
その結果、
徒手で一瞬戻る → すぐ戻らなくなる
という現象が起きる。
✨ 鍼だけでも仙腸関節の治療は成立する
ここが大事
今回の論文でも、鍼単独の介入だけで
痛み 機能 関節位置 この3つを明確に改善している。
臨床的にはどう使うのがベストか?
★STEP1:鍼でロックを解除
主に刺すポイントは:
上後腸骨棘周囲
後仙腸靭帯ライン
中殿筋
梨状筋
大臀筋深層
腰方形筋
ここで 痛みのスイッチ+緊張のロック を外す。
★STEP2:軽めの徒手で位置を整える
ゴリゴリ整復は不要。
鍼で緩んだ後は、
関節が勝手に正しい位置に戻ろうとする力が働く。
★STEP3:安定化エクササイズ
中殿筋、多裂筋、腹横筋、片脚バランス、サイドプランク
ここを入れると再発率が激減。
まとめ
鍼だけで仙腸関節のズレは十分改善できる。
痛み・機能・関節アライメントすべてにエビデンスがあり、
安全性も高い。
これはもう、治療として“使わない理由がない”。
仙腸関節の“ズレ”はこう測る
X線で「腸骨横径差」(Transverse iliac diameter)を測る 仙腸関節 malposition index(SIJ index)を使う JOA・ODI・臨床兆候+症状の複合判定(ガイドライン準拠)
※論文10本のうち、特に明確に“ズレ”を数値化していたのは①と②。
①【X線で測る:腸骨横径差】
論文の中で Zhang 2020が使っていた方法。
■何を測る?
左右の腸骨の「横幅の差」を X線で測定する。
■なぜ横幅?
仙腸関節が前後・上後方向にズレると、
腸骨の見え方(投影像)が左右非対称になる。
→ そのズレを mm 単位 で測る。
■具体的には
ASIS(上前腸骨棘)とPSIS(上後腸骨棘)付近の位置関係 腸骨翼の幅 骨盤全体の左右対称性
これらを X線上の“基準線からの距離”で計測。
■どう評価する?
治療前と治療後の差分で
腸骨のアライメントが戻っているかを判定。
→ この研究では 鍼の方が徒手より改善が大きい と出た。
②【仙腸関節 malposition index(SIJ index)】
Zhou 2014が使用。
■どんな指標?
仙腸関節の“ズレ”を
上下 前後 開閉 回旋
の総合的変化として評価するスコア。
■どうやって計測する?
臨床的な以下の所見を組み合わせる:
PSIS の左右高さ差
ASIS の高さ差
股関節の回旋異常
骨盤の傾き
脊柱の代償
骨盤の回旋(前方回旋 or 後方回旋)
荷重側の変化
歩行時の骨盤揺れ
これらを 定量化した index(点数) として扱う。
治療前後で index がどれだけ改善したかを比較。
→ この研究では 鍼の方が徒手より改善幅が大きい。

