「それ、本当に椎間板ヘルニア? 実は“お尻の小さな神経”が原因かもしれません」

疼痛

はじめに

こんにちは。リハりんの金野です。

腰から脚にかけてのしびれや痛み…。多くの方が「椎間板ヘルニア」や「坐骨神経痛」と診断されます。
でも、手術をしても症状が残ったり、MRIでヘルニアがあっても症状が合わなかったりすることがあるのをご存知でしょうか?

実はその痛み、“お尻の小さな神経”=殿皮神経(でんぴしんけい)が原因になっている場合があるのです。


殿皮神経とは?

お尻の表面には「殿皮神経」という細い神経が走っています。

  • 上殿皮神経(SCN):腰の神経(L1〜L3)から出て腸骨稜を越え、お尻の皮膚へ。
  • 中殿皮神経(MCN):仙骨(S1〜S3)の神経から出て仙骨孔を通り、お尻の皮膚へ。

この神経が、筋膜や靭帯で締め付けられる(絞扼)ことで、腰やお尻の痛み、さらには脚へ広がるしびれや痛みを引き起こします。


誤診されやすい理由

  • 椎間板ヘルニアや坐骨神経痛と症状がそっくり
  • MRIで椎間板の膨らみが見つかると「これが原因」とされやすい。
  • しかし実際には、本当の原因は殿皮神経の絞扼で、ヘルニアは“偶然の所見”ということもあります。

症例報告からわかること

世界中の報告では「ヘルニアと診断されていたけれど、実は殿皮神経が原因だった」という例がいくつもあります。

  • Matsumoto 2021(日本)
     L5/S1に椎間板ヘルニアがある患者さん。実際は中殿皮神経の絞扼が原因で、ブロックと神経剥離術で改善。椎間板の手術は不要だった。
  • Isu ら(レビュー)
     上・中殿皮神経の絞扼は「偽坐骨神経痛」とも呼ばれ、約60%の患者で脚の症状を伴うと報告。
  • Kim 2017(総説)
     上殿皮神経/中殿皮神経絞扼は「椎間板ヘルニアと間違えやすい病気」の代表。誤診すると不必要な手術や“手術しても痛みが残る”ケースになるリスクがある。
  • Speed 2011(症例報告)
     プロスポーツ選手が長引く腰・脚の痛みで腰椎疾患と診断されていたが、実は上殿皮神経の絞扼。神経除圧で改善した。

臨床でのチェックポイント

  • 腸骨稜(骨盤の横)や仙骨孔付近に押すと響くポイント(圧痛点)がある。
  • 押すと「いつもの脚のしびれ・痛み」が再現される。
  • ブロック注射や鍼治療で改善する場合がある。
  • 画像検査で説明できない痛みが続くときは、この神経を疑う価値あり。

鍼灸でできること

殿皮神経の周囲は筋膜や靭帯が関与しているため、鍼治療で期待できる効果は:

  • 神経周囲の血流改善、滑走性の改善
  • 筋肉や筋膜の緊張緩和
  • 神経の異常な興奮をリセット

実際、鍼灸で腰や脚の痛みが改善するのは、このような小さな末梢神経の解放が背景にあるかもしれません。

最近の臨床でも、仙骨の外側に鍼を刺したまま前屈後屈を繰り返し実施したところ、腰部の痛みが消失した症例がありました。


まとめ

  • 腰や脚の痛みの原因は、必ずしも椎間板ヘルニアとは限らない。
  • “お尻の小さな神経(殿皮神経)”が原因のケースもある。
  • 誤診すると無駄な手術につながることも。
  • 鍼灸を含む保存療法で改善する例も報告されている。

👉 「ヘルニアと言われたけど本当にそう?」と思う方は、一度“お尻の神経”の可能性を調べてみるとよいかもしれません。


参考文献

  • Matsumoto et al. Middle cluneal nerve entrapment neuropathy… (2021)
  • Isu T. Superior and Middle Cluneal Nerve Entrapment… (2018)
  • Kim K. Common diseases mimicking lumbar disc herniation… (2017)
  • Speed J. Entrapment of the Superior Cluneal Nerve – a Case Report (2011)

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