〜あなたに合った車いすと座り方を見つけよう〜
はじめに
車いすに座るとき、「ちょっとお尻がずれる」「腰や背中が痛い」「すぐ疲れる」 ——そんな経験はありませんか?
実は、座り方やクッションの選び方ひとつで、体の負担を減らし、食事や会話がもっと楽にできるようになります。
この「座りやすさ・動きやすさ」を整える技術を専門用語で 「シーティング」 と呼びます。
シーティングは「座り方の工夫」だけでなく、体に合った車いすやクッションを選び、調整する総合的な技術です。
1. 車いすにもいろんな種類があるんです
車いすは見た目が似ていても、機能や使い方が大きく違うのをご存じですか?
手でこぐタイプ(手動車いす)
- 普通の車いす
病院や施設でよく使われるシンプルなタイプ。短距離向き。 - リクライニング式
背もたれが倒れるので、呼吸が苦しいときや休息したいときに便利。 - ティルト式
椅子全体を後ろに傾けることで、姿勢を崩しにくく、円背(背中が丸い人)にも適応。
電動車いす
- 普通型
フレームがしっかりしており、長時間の外出にも安心。 - 簡易型
普段は手動車いす、必要に応じてモーターを後付け。軽くて車に積みやすい。
👉 どの車いすを選ぶかは、「体の状態」「生活の場面」「介助の有無」で変わります。
2. クッションが大切な理由
「車いすの座面は固くて痛い」という声はよく聞かれます。
そこで欠かせないのが クッション です。
クッションの役割
- お尻の痛みや床ずれ(褥瘡)を防ぐ
- 姿勢を安定させる(骨盤が倒れないように支える)
- 体のずれを防ぐ(前すべり予防)
クッションの種類
- ウレタン(スポンジ系):安くて軽いが、へたりやすい
- ゲルやジェル入り:お尻にフィットして安定感がある
- 空気式(例:ロホクッション):圧を分散して床ずれ予防に効果的。ただし空気調整が必要
👉 クッションひとつで「座っていられる時間」が大きく変わります。
3. 姿勢を整えることが「楽さ」につながる
車いすに座るとき、次のようなことが起こりやすいです。
- 骨盤が後ろに倒れると… 背中が丸まり、呼吸や食事がしづらくなる
- 足が床に届かないと… 前にずれて腰やお尻に負担がかかる
- 背もたれが合っていないと… 首や肩に力が入り、疲れやすい
👉 大事なのは「骨盤」と「足の位置」。
- 骨盤をまっすぐに立てる
- 足を床やフットサポートにきちんと置く
これだけで姿勢が安定し、呼吸・食事・会話・作業が楽になります。
4. 体に合ったサイズ選び
車いすは「服」と同じで、サイズが合わないと使いにくいです。
専門家は体を採寸して、以下のポイントを合わせます。
- お尻の幅(シートの幅)
- お尻からひざまでの長さ(シートの奥行)
- 足の長さ(座面の高さ)
- ひじの高さ(アームレストの高さ)
- わきの下の高さ(背もたれの高さ)
👉 これを正しく合わせると、体に負担が少なく、動きやすい車いすになります。
5.背張り調整
車いすの背もたれは布やベルトでできていて、その張り具合を調整できるものがあります。
これを 背張り調整 と呼びます。
- 強く張る → 背もたれが硬く、しっかり支える
- ゆるめる → 背もたれが柔らかく、体にフィットする
つまり、背張り調整は「背中のカーブや姿勢に合わせて背もたれを調整する仕組み」です。
なぜ大切なの?
背張りの調整が合っていないと……
- 腰や背中にすき間ができて不安定
- 背中が丸まってしまう(円背)
- 首や肩に力が入りやすく疲れやすい
逆に、調整が合っていると……
- 骨盤が安定して座りやすい
- 背中全体で体を支えられる
- 呼吸や食事が楽になる
- 調整の方法(一般的な流れ)
- 座った状態で調整する
→ 空いたすき間や、圧迫されている場所を確認します。 - 上半身のどこを支えるかを考える
→ 腰の部分をしっかり支えるか、背中全体で支えるか。 - ベルトの強さを部分ごとに変える
→ 腰はしっかり、肩のあたりは少し緩めるなど、バランスをとります。 - 座り心地を確認
→ 「呼吸しやすい?」「腕が動かしやすい?」を本人に聞きながら調整。
- 背張りの有無
骨盤サポート付き+背張り調整 → より立体的に支えて、安定性アップ
背張り調整あり → 背骨の形に合わせて支えられる
背張り調整なしの背もたれ → 平らなので背中が丸まりやすい
まとめ
- 車いすやクッションは「種類がたくさん」ある
- 正しく選ぶと 痛みや疲れが減り、生活が楽になる
- 大切なのは「骨盤を安定させること」と「足を床につけること」
- サイズ合わせと日常のちょっとした工夫で、快適さは大きく変わる
おわりに
「座る姿勢」は、食事・会話・移動・趣味など日常生活すべてに直結します。
シーティングは単なる「座り方」ではなく、生活を支える環境づくりです。
もし「座っているのがつらい」と感じたら、遠慮なく専門家(理学療法士・作業療法士・リハ工学技師)に相談してくださいね。


コメント