〜最新の研究から見えた効果〜
はじめに
片頭痛は世界中で10億人以上が悩んでいると言われる病気です。
「薬を飲むと眠くなる」「胃がムカムカする」「長くは続けられない」――そんなお悩みをよく耳にします。
近年では、薬に頼らない方法として**鍼灸(しんきゅう)**が注目されるようになってきました。
今回は2024年に発表された大規模な研究(34の臨床試験、3,365名を対象)をご紹介し、鍼灸が片頭痛にどんな効果を持つのかを分かりやすくお伝えします。
研究では何を調べたの?
この研究では、次のような点を比べました。
- 痛みの強さ(頭痛がどれくらい痛いか)
- 発作の回数(1か月に何回起きるか)
- 発作の長さ(どのくらい続くか)
- 発作がある日数(生活の中で何日影響するか)
- 副作用(体に悪い影響はないか)
鍼灸にはいろいろな方法がありますが、研究では以下の種類が比べられました。
- 従来の鍼(一般的な鍼治療)
- 電気鍼(鍼に弱い電流を流す)
- 刺絡・カッピング(瀉血や吸い玉)
- 特殊鍼法(体質に合わせた独自の方法)
- 鍼+薬(併用治療)
主な結果
1. 痛みの強さ
- 一番効果があったのは特殊鍼法。
- 鍼と薬を組み合わせる方法も効果的。
- 電気鍼は「薬と同じくらい」の効果でした。
2. 発作の回数
- 刺絡・カッピングが最も効果的で、発作を大きく減らしました。
3. 発作の長さ
- 鍼+薬の組み合わせが一番効果的でした。
4. 発作の日数
- 電気鍼が特に有効でした。
安全性について
- 鍼灸:軽い皮下出血やだるさ程度で、重い副作用はほとんどなし。
- 薬:眠気や胃の不快感などが多く、長く続けるのが難しいことも。
👉 そのため、鍼灸は「安心して長く続けやすい治療」と言えます。
患者さんへのヒント
- とにかく痛みを和らげたい → 特殊鍼法
- 発作回数を減らしたい → 刺絡・カッピング
- 発作時間を短くしたい → 鍼+薬
- 発作の日数を減らしたい → 電気鍼
ご自身の症状や生活スタイルに合わせて、鍼灸の方法を選ぶことができます。
まとめ
この大規模解析は、「鍼灸は片頭痛に対して薬以上の効果を示すことがある」という強力なエビデンスを示しました。
特に副作用が少なく、生活の質を損なわずに続けられる点は大きな魅力です。
ただし研究の多くは中国発であり、方法のばらつきや盲検化の不足などの限界もあります。今後は国際的に統一された基準での臨床試験が求められます。
片頭痛でお悩みの方にとって、薬だけでなく鍼灸も「有力な選択肢」になり得ることを知っていただければ幸いです。
片頭痛RCTでよく使われた経穴ランキングTOP10
| 順位 | 経穴(部位) | 使用理由・特徴 |
|---|---|---|
| 🥇1位 | 風池(GB20)(後頭部) | 片頭痛の定番。後頭下筋群の緊張緩和、風邪・気血の通り道を開く。ほぼ全研究で採用。 |
| 🥈2位 | 太陽(EX-HN5)(こめかみ) | 片頭痛の局所圧痛点。側頭動脈付近で鎮痛効果が高い。 |
| 🥉3位 | 百会(GV20)(頭頂部) | 督脈の要穴。全身の気を引き上げ、片頭痛の中心的な治療点。 |
| 4位 | 合谷(LI4)(手背) | 「頭顔部の万能穴」。遠隔鎮痛に有効、片頭痛治療でほぼ必須。 |
| 5位 | 太衝(LR3)(足背) | 肝経の原穴。肝気の疏泄を助け、ストレス性の片頭痛に効果。 |
| 6位 | 三陰交(SP6)(下腿内側) | 肝・脾・腎の交会穴。特に月経関連片頭痛で頻出。 |
| 7位 | 頭臨泣(GB15)/懸顱(GB5)など頭部の胆経穴 | 側頭〜頭頂の痛みに対応。胆経の走行と片頭痛の好発部位が一致。 |
| 8位 | 内関(PC6)(前腕内側) | 自律神経調整、嘔気・悪心を伴う片頭痛に有効。 |
| 9位 | 陰陵泉(SP9)(下腿内側) | 水分代謝を改善し、痰湿タイプの頭痛に対応。 |
| 10位 | 外関(TE5)(前腕外側) | 少陽経の代表穴。片頭痛の放散痛(側頭・耳後部)に効果的。 |
解説
- **上位3穴(風池・太陽・百会)**は、頭部の血流や筋緊張の改善を目的にほぼ全ての研究で採用。
- 合谷・太衝・三陰交は「四関穴」や「肝脾腎のバランス調整」として選ばれることが多い。
- 内関・外関は自律神経や少陽経のルートを整える意味で補助的に使われる。
- **女性特有の片頭痛(生理周期に関連)**では、三陰交や陰陵泉の登場頻度が高い。


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