―「首こり頭痛」という雑な理解を捨てる―

はじめに
緊張型頭痛は「肩こりが原因」と一言で片付けられがちだが、
それは半分正解で、半分は完全に間違いだ。
なぜなら、
現在の緊張型頭痛の中核は
👉 中枢性感作(central sensitization)
で説明されているからである。
緊張型頭痛の定義(ICHD-3)
- 両側性
- 圧迫感・締め付け感
- 日常動作で悪化しない
- 吐き気は基本なし
👉 ここまでは知ってる人が多い。
問題はその先。
病態①:末梢だけでは説明できない
筋・筋膜の役割
- 僧帽筋
- 後頭下筋群
- 側頭筋
これらに圧痛閾値の低下が認められることは事実。
📄 論文
- Bendtsen L. Muscle tenderness and pain thresholds in tension-type headache.
Pain, 1996.
しかし──
筋が硬い=原因ではない。
病態②:中枢性感作が本丸
慢性緊張型頭痛では、
- 痛覚閾値が全身的に低下
- 局所刺激に過剰反応
- 非侵害刺激が痛みに変換される
📄 論文
- Bendtsen L. Central sensitization in tension-type headache.
Current Pain and Headache Reports, 2000.
👉 つまり
- 首を揉んで一時的に楽
- すぐ戻る
これは中枢側が変わっていないから。
病態③:心理社会的因子を避けるな
- ストレス
- 不安
- 抑うつ
- 睡眠障害
📄 論文
- Cathcart S et al.
Stress and tension-type headache: central mechanisms
Journal of Headache and Pain, 2010.
👉
「気のせい」ではない
「脳の処理の問題」
評価の実際
問診で見るポイント
- 毎日 or 週何回?
- 朝から重い?
- 動いても変わらない?
- 肩こりとセット?
触診
- 広範囲にベタっと硬い
- 明確な再現動作は出にくい
👉 ここが重要
- 首を動かして再現しない
→ 頸性頭痛ではない可能性が高い
鍼灸・運動介入は有効か?
結論:有効。ただし条件付き
📄 システマティックレビュー
- Linde K et al.
Acupuncture for tension-type headache
Cochrane Database, 2016.
👉
- 頻度減少
- 薬物より副作用が少ない
ただし
- 刺すだけ
- 緩めるだけ
では再発する。
臨床家がやるべきこと
- 中枢性感作を前提に考える
- 呼吸・睡眠・活動量を無視しない
- セルフケアを必ず組み込む
- 「治す」より「管理する」
まとめ
- 緊張型頭痛=筋だけの問題ではない
- 中枢性感作が背景
- 鍼灸・運動は適切なら強力
- 雑なマッサージは逆効果になることもある


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