はじめに
こんにちは。リハビリ✖️はりきゅう リハりんの金野です。
便秘で悩む方はとても多く、特に「薬を飲んでいるけれどなかなか改善しない」「薬の副作用が心配」という声をよく聞きます。
最近では、薬以外の方法として鍼灸が注目され、世界中で研究が進んでいます。
最新研究でわかったこと
1. 薬と比べてどうなの?
2023年に行われた**12の臨床試験をまとめた研究(メタ解析)**では、電気鍼(鍼に弱い電気を流す方法)は、薬(5-HT4受容体作動薬など)と同じくらい便通を改善しました。
さらに、**生活の質(QOL)や気分(不安や抑うつ)**に関しては、電気鍼の方が良い結果が出ていました。副作用も薬より少ないと報告されています【Wangら, 2023】。
2. 高齢者への効果
2024年の研究(8つの臨床試験をまとめたもの)では、鍼は高齢者の便秘に対して、**排便回数の改善(特にCSBM=自発的な排便)**や便の形を改善する効果があるとされました。
ただし「排便のしやすさ」「生活の質」などは試験ごとに結果が異なり、まだはっきりした結論は出ていません【Yaoら, 2024】。
3. 便秘によく使われるツボ一覧
研究や臨床でよく用いられる代表的な経穴をまとめました。
お腹のツボ
- 天枢(ST25):おへその左右
- 中脘(CV12):みぞおちとおへその真ん中
- 気海(CV6):おへその下
- 関元(CV4):おへそのさらに下
- 腹結(SP14):おへその横やや下
脚のツボ
- 足三里(ST36):膝の下、すねの外側
- 上巨虚(ST37):すねの中央あたり
- 下巨虚(ST39):すねの下方
- 三陰交(SP6):内くるぶしの上
腰・背中のツボ
- 大腸兪(BL25):腰のあたり(第4腰椎レベル)
- 小腸兪(BL27):仙骨の高さ
- 長強(GV1):尾骨の先
その他
- 合谷(LI4):手の甲、親指と人差し指の間
- 太衝(LR3):足の甲、親指と人差し指の骨の間
→ これらのツボを組み合わせ、お腹と足・背中を中心に刺激する方法が多くの研究で用いられています。
4. どうして効くの?(詳しめ)
近年の研究で、鍼灸が便秘に効く「仕組み」がだんだんわかってきました。
🟢 腸での作用
- 鍼の刺激で腸のぜんどう運動(内容物を送る動き)が強まり、便が進みやすくなる。
- 腸内の粘膜を守る力が高まり、腸漏れ(リーキーガット)が防がれる。
- 善玉菌が増え、腸内環境が整う。
🟢 自律神経の調整
- 鍼はリラックス神経(副交感神経)を活発にし、緊張の神経(交感神経)を抑える方向に働く。
- ストレスや冷えで腸が固まっている人には特に効果が出やすい。
🟢 脳とのつながり
- 鍼をすると、脳の「痛みや不快感に敏感になりすぎる部分」が落ち着く。
- お腹の張りや違和感が気になりにくくなり、自然なリズムで便が出やすくなる。
- 気分ややる気をつかさどる前頭葉も整い、生活全体が前向きになる。
まとめ
- 鍼灸は薬と同じくらい便秘を改善する可能性があり、生活の質や気分の改善ではむしろ優れているという研究もあります。
- 高齢者の便秘にも効果が期待できますが、研究結果にはまだばらつきがあります。
- 便秘に使われるツボは、お腹・脚・背中・手足など幅広くありますが、特に天枢・足三里・上巨虚が基本。
- 鍼は「腸」「自律神経」「脳」の3方向に働きかけ、体と心の両面からサポートしてくれます。
便秘で悩む方にとって、鍼灸は「薬と並ぶ選択肢」として検討する価値がある治療法です。


コメント
すごく分かりやすい解説ありがとうございます.ツボに関して、指圧でも一定な効果は得られるのでしょうか?
鍼を経験したいので今度遊びに行かせてください.
コメントありがとうございます!
指圧での便秘に対しての効果に関しては看護の方が論文を出しており、一定の効果が出ている様子です。そのため、試してみる価値はあると考えます。
正確に経穴を刺激したい場合は、ツボの付近をさすっていって指が止まる所や凹みがある所を刺激すると良いですよ。