「発達障害で障害年金って、結局なにが通る条件なの?」を、申請で落ちやすい地雷込みでまとめます。
(※ここでは制度の全体像と実務のコツ。個別案件の可否判断は年金事務所・社労士等で詰めてください)
まず結論:受給のための「3つの要件」
障害年金は、基本的にこの3つを全部満たす必要があります。日本年金機構の「障害年金ガイド」でも、この流レールで説明されています。
① 初診日があること(=スタート地点の確定)
初診日は「その障害(症状)で初めて医療機関を受診した日」。
発達障害は先天性でも、初診日は“生まれた日”じゃなく“初めて受診した日”】【判定の起点】になります(ここがブレると全部崩れます)。
② 保険料納付要件を満たすこと
原則は「加入期間のうち一定以上、保険料を納めている(免除含む)」が必要。
ただし、20歳前に初診日があるケースなどは扱いが変わります(後述)。
③ 障害認定日に、認定基準の障害状態にあること
原則の障害認定日は「初診日から1年6か月経過した日」。その時点で等級に該当する状態かが見られます。
(認定日で軽くても、後から悪化して請求できる“事後重症”の考え方もガイドに載っています。)
働きながらでも受給は可能?
可能です。ここ、誤解が多い。
ただし現実はこうです:
- 「働いてる=不支給」ではない
- でも審査は「働けてるなら軽いのでは?」に傾きやすい
- だから勝負は “働けているように見える部分”の裏側 を、書類で潰せるか
仕事をしながら通すための“見せ方”の芯
「仕事内容」よりも、審査に刺さるのはこっちです。
- どんな配慮がないと破綻するか(指示の出し方、確認回数、環境調整、対人の仲介など)
- ミスやトラブルの頻度と内容(週◯回、月◯回レベルで)
- 疲弊→欠勤・遅刻・パフォーマンス低下の流れ
- “支援が外れた瞬間に詰む”構造があるか
要するに、「働けてる」じゃなくて「支えられて何とか形になってる」を証拠化する。
「日常生活の困難さ」はどう判定される?
精神(発達含む)の診断書では、日常生活能力を具体項目で評価する設計になっています。厚労省の「精神の障害用 診断書記載要領」でも、日常生活能力の判定・程度の考え方が整理されています。
よく使われる軸は次の2つ:
A. 日常生活能力の判定(“場面別”)
代表的には、食事・清潔・金銭管理・通院服薬・対人/意思疎通・安全/危機対応・社会性みたいな「生活の具体場面」を、どれくらい一人で回せるかで見ます。
B. 日常生活能力の程度(“全体像”)
「家庭内は何とか/社会生活は無理」「身の回りも援助が必要」など、全体の重さを段階づける発想です。
感覚過敏の伝え方(雑に書くと死ぬ)
NG:
- 「感覚過敏があります」
- 「疲れやすいです」
OK:
- トリガー:音(具体例:電子音、換気扇、複数人の会話)/光(蛍光灯)/匂い(柔軟剤)
- 反応:パニック、フリーズ、思考停止、頭痛・吐き気、攻撃性ではなく防衛反応
- 頻度:週◯回、毎日◯回
- 結果:買い物に行けない、通勤不可、食事が偏って栄養破綻、入浴できない等
- 必要な支援:同伴、時間帯調整、環境調整、代替手段(ネット購入)
- 事後:回復に半日〜数日かかる、翌日動けない
“症状名”じゃなく、生活機能の破綻として書く。これが審査が読める言語。
20歳前に初診日がある場合の特例
1) 保険料納付要件が不要
20歳前に、年金制度に加入していない期間が初診日なら、納付要件を問わない扱いがあります。
2) ただし「所得制限」が乗る
20歳前初診の障害基礎年金は、所得で支給停止がかかります。日本年金機構が金額基準を明記しています。
- 前年所得 3,761,000円超:1/2 支給停止
- 前年所得 4,794,000円超:全額 支給停止
- 扶養親族がいると上限が加算(1人につき一定額加算)
(支給停止期間は原則10月〜翌9月の運用、なども同ページにあります。)
1級〜3級の支給額はどれくらい?
金額は毎年度変わるので、日本年金機構の最新ページ基準で押さえるのが安全です。
障害基礎年金(令和7年4月分から)の年額は以下。
- 1級:1,039,625円(※生年月日区分あり)+子の加算
- 2級:831,700円(※生年月日区分あり)+子の加算
- 子の加算(2人まで:1人 239,300円、3人目以降:1人 79,800円)
※3級は「障害厚生年金」にある等級で、基礎年金とは別計算(報酬比例)になります。
不支給になったら:再チャレンジは2ルート(同時進行もアリ)
ルートA:不服申立て(審査請求→再審査請求)
- 審査請求:決定を知った翌日から3か月以内。地方厚生局の社会保険審査官へ。
- 再審査請求:審査官の決定書送付日の翌日から2か月以内(制度QAでも明記)。
ルートB:再請求(出し直し)
「診断書が実態を反映してない」「申立書が弱い」「初診日の証明が崩れてる」みたいに、原因が“書類の作り”にあるなら、出し直しが刺さります。
不服申立ては“判定の是非”を争うので、材料が弱いと負けやすい。だから多くのケースで「材料を作り直す」価値が出ます。
病歴・就労状況等申立書のコツ
申立書は「あなたの困りごと作文」じゃなくて、審査が等級判断できる情報に変換する作業。
書くべきはこの5点セット
- いつから(時系列:学生期→就職→現在)
- 何ができない(具体行動)
- どれくらいの頻度で起きるか(数字)
- その結果どう破綻するか(欠勤、退職、対人トラブル、生活崩壊)
- 何の支援があれば成立するか(支援の種類と量)
診断書の「日常生活能力」の評価設計は国側の要領で決まっているので、申立書もそこに刺さる形で書くのが合理的です。
まとめ:障害年金は「診断名」より「生活の破綻の証拠」
- 3要件(初診日・納付・障害状態)を外すと即終了
- 働いてても可能。ただし「配慮がないと詰む構造」を書類化
- 20歳前初診は納付不要だが、所得制限が乗る
- 不支給後は「不服申立て(期限あり)」と「出し直し」を戦略的に使い分け
必要なら、あなたが想定しているケース(就労形態、配慮内容、生活で詰む場面)を箇条書きで投げて。
申立書にそのまま貼れる文章に、こっちで“審査が読める形”へ整形して返す。



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