腰痛にならない人の正体

疼痛

― 最新研究が示した「たった一つの生活習慣」

「腰痛は年齢のせい」「姿勢が悪いから」「体幹が弱いから」

──これ、半分は都市伝説です。

2025年、JAMA Network Openに掲載された大規模研究が、

“腰痛にならない人”の最大の共通点を、かなり残酷なほどシンプルに示しました。

結論から言います。

腰痛にならない人は、よく歩く。以上。

研究の概要(エビデンスの芯)

ノルウェーで行われた前向きコホート研究では、

11,194人の成人を対象に、

  • 腰痛がない状態からスタート
  • 加速度計で歩行量・強度を客観的に測定
  • 約4.2年間追跡

という、腰痛研究としてはかなり“硬派”な設計が採られました 

結果:腰痛にならない人は何をしていたか?

① 歩行時間が長いほど、慢性腰痛は減る

  • 1日100分以上歩く人
     → 慢性腰痛のリスクが約23%低下
  • 78分未満の人が、最もリスクが高い

しかもこの関係、

年齢・性別・収入・学歴・喫煙・抑うつを全部調整しても崩れない。

つまり、

「健康意識が高いから歩いてるだけ」

という言い訳は通らない。

② 速さより「量」が効く

多くの人が勘違いしてますが、

  • 速く歩く(強度) → 効果はあるが弱い
  • 長く歩く(量) → 効果が明確

論文内でも、

歩行量を調整すると、強度の効果はかなり薄まると明記されています 

👉 要するに

息切れする速歩より、ダラダラ長く歩く方が腰には優しい。

③ 効果は「100分」で頭打ち

これも重要。

  • 歩行量と腰痛リスクの関係は非線形
  • 100分前後でリスク低下は緩やかに

つまり、

「歩けば歩くほど無限に良い」

ではない。

毎日100分前後を安定して確保できる人

これが「腰痛になりにくい人」の現実的ライン。

なぜ“歩く人”は腰痛にならないのか(考察)

論文は介入研究ではないため因果は断定できませんが、臨床的には説明がつきます。

  • 軽〜中等度の反復負荷で脊柱周囲組織の耐性が上がる
  • 血流・代謝改善による疼痛感受性の低下
  • 活動的な生活による恐怖回避思考の抑制
  • 抑うつとの関連(調整後も効果が残るのがポイント)

つまり、

腰は“守られる”より、“使われた方が強くなる”。

「腰痛にならない人」に共通する、たった一つの習慣

ここまでを一言でまとめると、

腰痛にならない人は、特別な運動をしていない。

ただ、毎日よく歩いている。

  • コルセットなし
  • 体幹トレ信仰なし
  • 姿勢を気にしすぎない

地味で、再現性が高く、しかも論文で裏づけられている。

これが一番強い。

臨床・セルフケアへの落とし込み

今日からできる現実解

  • 目標:1日100分
  • まとめてじゃなくてOK
  • 速さは気にしない
  • 「運動」じゃなく生活の移動量を増やす

腰痛予防において、

最先端の答えが“散歩”なのは皮肉ですが、事実です。

参考文献

  • Haddadj R, et al. Volume and Intensity of Walking and Risk of Chronic Low Back Pain.
    JAMA Network Open. 2025.  

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