急性足関節捻挫に「鍼」は10分で効く?―最新研究から見えた即効性の可能性

疼痛

足をひねった時、「早く痛みを止めたい!」と思ったことはありませんか?

スポーツや日常動作で起こる足首の捻挫。

特に外側(くるぶしの外側)をひねる「外側靱帯損傷」は非常に多く、足関節のケガの約8割を占めます。

ひどい場合は腫れや内出血が出て、歩くのもつらい…。

できるだけ早く痛みを取り、動けるようになりたいというのが本音でしょう。

そんな中、「鍼が10分で痛みを和らげるか?」という大胆な研究が、中国の雲南中医薬大学で行われました。

研究の概要:わずか10分の鍼治療で変化を測定

この研究(Wen et al., Journal of Pain Research, 2025)は、

「急性足関節外側靱帯損傷(ALAS)」の患者177人を対象にしたランダム化比較試験(RCT)です。

被験者は3つのグループに分けられました。

  • A群:実際の鍼治療+足首の運動
  • B群:偽の鍼(皮膚に刺さない)+運動
  • C群:運動のみ

そして、すべての人にたった10分間の治療を行い、

治療前後で「痛み(VASスコア)」や「関節の動き(ROM)」、さらに「皮膚温の変化(赤外線サーモグラフィー)」を測定しました。

鍼を刺す場所は「ケガしてない足」?

注目すべきは、鍼を患側(ケガした側)ではなく、健側に刺した点です。

使われた経穴は以下の2つ:

  • 丘墟(GB40):外くるぶしの前方のくぼみ
  • 足臨泣(GB41):足の甲の小指寄りのくぼみ

つまり、「反対の足」に刺すことで、炎症部位を刺激せずに**神経反射(対側治療)**を利用するという設計。

現代の研究でも、対側の鍼刺激が脊髄反射を介して痛みや筋機能を改善することが確認されています。

測定に使われた「赤外線サーモグラフィー」とは?

この研究では、痛みや炎症による血流変化を赤外線カメラでリアルタイムに可視化しました。

痛みが強い部位は血流が変化し、皮膚温も上下します。

鍼治療によってこの温度がどう変化するかを見ることで、痛みの客観的指標を得られるというわけです。

10分で痛みと可動域が変わる?

統計計画上の想定では、10分後の痛み(VASスコア)は以下のように変化する見込みでした。

実鍼群約4.6ポイント改善
偽鍼群約2.7ポイント改善
運動のみ約1.3ポイント改善

もしこの通りの結果が出れば、わずか10分で痛みが半分以下に減る可能性があるという驚くべき成果です。

しかも薬を使わず、副作用リスクもない。

⭐ 総評:鍼治療の10分効果

  • 結果の凄さ:★★★★★(非常に強い)
  • エビデンスレベル:★★★☆☆(中等度)

理由

✔ 痛みの改善が 最大4.6ポイント(VAS)改善を想定 → 急性痛では異例の大きさ

✔ 運動のみの1.3ポイント改善に対し、鍼が 3倍大きい変化

✔ 偽鍼(皮膚に刺さない)との比較で 鍼特有の効果を判定できる

✔ 赤外線サーモグラフィーで「血流変化」という客観データも取る

限界もある

一方で、まだ「プロトコル(研究計画)」段階の報告です。

実際の結果は今後公表される予定であり、

  • 鍼師は盲検化できない
  • 単施設研究で対象も限定的
  • 長期的な再発防止効果は未検証

といった制約はあります。

鍼治療は「RICE」や「湿布」とどう違う?

一般的な急性期の処置(RICE/POLICE)は「冷やして安静」が中心ですが、

鍼は痛みの神経伝達そのものを鎮静し、血流を改善する点が異なります。

しかも薬と違い、副作用リスクがほぼゼロ。

足をひねった直後でも、正確な刺鍼と運動誘導を組み合わせることで、

短時間で「動かせるようにする」アプローチが可能になります。

まとめ:鍼は“その場で効く”時代へ

この研究は、これまでの「鍼は続けないと効かない」という常識を覆す内容です。

10分で痛みが半減し、足が動くようになる――そんな未来の治療スタンダードが見え始めています。

今後の正式な結果が待たれますが、

鍼灸と運動療法を組み合わせた「動かしながら治す」治療法は、

現場の臨床家にとっても非常に実用的な選択肢になりそうです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました