鍼灸は心疾患があっても安全?科学的エビデンスで解説

安全性

こんにちは、鍼灸師・理学療法士の金野広大です。

「鍼灸って心臓に悪影響はないの?」
「狭心症でも受けられるの?」

そんな疑問に対して、最新の研究や国際ガイドラインに基づくエビデンスを中心に解説します。


1. 鍼灸と心臓への影響:研究が示す安全性

① 大規模レビュー:White et al., 2001 (BMJ)

  • 対象:34,000件以上の鍼治療記録
  • 結果:重篤な心血管イベントはほとんど報告なし
  • 示唆:標準的な鍼治療は心疾患患者でも比較的安全

施術時に軽度の血圧・心拍変動はあるものの、命に関わるリスクは低い

② WHO報告書:Ernst, 2004

  • 不安定狭心症や急性心筋梗塞は施術禁忌
  • 安定狭心症は慎重施術で可能
  • 理由:鍼による自律神経刺激や血圧変動が、心筋酸素需要に影響する可能性があるため

③ 電気鍼とペースメーカー:Kim et al., 2013

  • 電気鍼(EA)はペースメーカー・ICD装着者にはリスク
  • 手動鍼のみなら安全性高い
  • 実例:心疾患患者50例で手動鍼施術、重篤な心血管イベントなし

2. 鍼灸で狭心症の症状が出るリスクは?

鍼灸そのものが心臓を直接傷つけるわけではありませんが、次の要因で胸痛や息苦しさが誘発される可能性があります:

  1. 自律神経の変化
    • 血圧・心拍数が変動する
  2. 心理的・身体的刺激
    • 鍼の痛みや緊張がストレスとなる
  3. 電気鍼の使用
    • 心臓近傍での電気鍼は心拍変動を強める可能性

ただし、研究上では「適切に管理された手動鍼」での施術は、症状誘発の報告は非常に少ないことが示されています。

3. どんな心疾患の方が注意が必要?

(1) ペースメーカー・ICD(植込み型除細動器)を使っている方

  • 注意点: 電気を流す鍼(電気鍼)は機器に干渉する可能性があります
  • 対応: 手動の鍼のみ使用、心臓から離れた部位で施術

(2) 狭心症の方

  • 急性期や発作直後の不安定狭心症は施術禁止
  • 安定期の狭心症でも、鍼や電気刺激による血圧・心拍の変化で胸痛が出る可能性があります

(3) 心不全・重度不整脈の方

  • 急性増悪期は施術禁止
  • 安定期でも慎重に施術(短時間・浅刺し・軽刺激)
  • 施術中は胸部症状・動悸・めまいの有無を常に確認

4. 安全に受けるためのポイント(科学的根拠ベース)

  1. 急性期は施術不可
    • 発作直後や不安定狭心症は研究でも禁忌
  2. 安定期でも慎重に
    • 刺鍼は浅く・短時間
    • 電気鍼は避ける
    • 胸部近くの深刺は避ける
  3. バイタルチェック必須
    • 血圧・脈拍・SpO₂を施術前後に確認
  4. 医師との連携
    • ペースメーカー・ICD、心疾患の既往は事前相談
  5. 症状が出たら中止
    • 胸痛、息苦しさ、動悸、めまいがあれば直ちに施術中止・医療機関受診

5. 研究結果からわかること

  • 鍼灸は安全に心臓に影響を与えず、症状の悪化を避けることが可能
  • 安定した心疾患患者でも、手動鍼で短時間・浅刺しの施術ならエビデンスが示す通り安全性は高い
  • 急性期や不安定期は科学的にも絶対に避けるべき

まとめ

研究が示す通り、鍼灸は心疾患患者でも条件を守れば安全に受けられることがわかります。

ポイントは:

  • 急性期や不安定期は避ける
  • 安定期でも浅刺し・短時間・電気鍼なしで施術
  • バイタルチェックと医師連携を必ず行う

胸の痛みや息苦しさがある方は、必ず医師に相談してから施術を受けましょう

金野広大よりひとこと

鍼灸は「安全に体を整えるための手段」です。心臓の病気があっても、正しい方法と管理で活用できます。無理せず、専門家と一緒に安全に取り入れましょう。

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