「手がしびれる」という症状は、日常生活で非常によく経験するものですが、実はその原因は「首(頚椎)」「神経の通り道(末梢神経)」「内科的な疾患」など多岐にわたります。単なる疲れだと思い込んで放置すると、筋肉の萎縮や機能障害につながることもあるため、正しい知識を持つことが大切です。
今回は、専門資料に基づき、手のしびれの代表的な原因とその見分け方について解説します。
1. 手のしびれの「二大原因」:首か、手首か
手のしびれを引き起こす最も代表的な疾患は、以下の2つです。
頚椎症(首の原因)
首の骨の変形などによって、神経の根元(神経根)や脊髄が圧迫されることで起こります 。しびれの範囲は、障害された部位に応じて特定の指に限局することが一般的です(例:親指ならC6、中指ならC7など)。
手根管症候群(手首の原因)
手首にある「手根管」というトンネル内で、正中神経が圧迫される疾患です。
特徴:
親指から薬指の半分がしびれ、小指はしびれません。
サイン:
夜間や明け方に症状が強くなり、手を振ると少し楽になる(フリックサイン)のが特徴です。
2. 小指側がしびれるときは「肘」をチェック
小指としびれ、薬指の小指側半分にだけしびれがある場合は、肘部管症候群が疑われます。
これは肘の内側で尺骨神経が圧迫されるもので、進行すると手の筋肉が痩せて、指が真っ直ぐ伸びない「鷲手(わしで)変形」をきたすことがあります 。
3. 肩こりやつり革でのしびれ「胸郭出口症候群」
「電車のつり革につかまっているとしびれる」「腕が重だるい」といった症状がある場合、胸郭出口症候群(TOS)の可能性があります。
首から腕に向かう神経や血管が、鎖骨付近の狭い隙間で圧迫・牽引されることで起こります。特になで肩の女性や、重い荷物をよく持つ人に多く見られます。
4. 意外な落とし穴:内科疾患や脳の病気
手のしびれは、整形外科的な問題だけでなく、全身の病気のサインであることもあります。
糖尿病・透析・甲状腺機能低下症:
これらの疾患は、末梢神経にダメージを与えたり、手根管症候群を合併しやすくしたりします。
脳血管障害(脳梗塞など):
片側の手としびれに加え、口の周りがしびれる「手掌・口症候群(Cheiro-oral syndrome)」などは脳の検査が必要です。
ALS(筋萎縮性側索硬化症):
手の筋肉が痩せるのが初発症状となることがあります。
パンコースト腫瘍:
肺尖部の癌が神経を圧迫し、手のしびれや肩の痛みを引き起こすことがあります。
5. 正しい診断のために
「しびれ=首が原因」と決めつけてMRIを撮るだけでは、不十分な場合があります。
しびれの分布を正確に把握する(どの指が、どの範囲でしびれるか)
誘発テストを行う(手首を叩く、首を傾けるなど)
電気生理学的検査(神経に電気を流して伝わり方を調べる)
これらを組み合わせることで、本当の原因が「どこから」来ているのかを特定することができます。
まとめ
手のしびれは、体が発している重要なサインです。特に「指先の感覚が鈍い」「細かいボタン留めがしにくい」「手の筋肉が痩せてきた」といった症状がある場合は、早めに専門医(手外科や神経内科)を受診することをお勧めします。正しい診断こそが、適切な治療への第一歩です。


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