足関節損傷が股関節の筋発火を遅らせる

歩行

— Bullock-Saxton et al., 1993 の臨床的意味 —

🔬 Bullock-Saxton JE, Janda V, Bullock MI (1993)

Reflex activation of gluteal muscles in walking. An approach to restoration of muscle function for patients with low back pain.

※タイトルは腰痛寄りだけど、実験の核は
👉 足関節の感覚入力と殿筋反応


研究の目的

研究者が見たかったのは:

👉 足関節の感覚障害が近位筋に影響するか

つまり、

「遠位の問題が股関節制御を壊すのか?」

という問い。

今で言う
👉 Regional interdependence
の原型。


方法

被験者:

  • 足関節捻挫既往あり群
  • 健常対照群

測定:

👉 歩行中の筋電図(EMG)

ターゲット筋:

  • 中殿筋
  • 大殿筋

研究者は

ヒールストライク前後の発火タイミング

を比較した。

ここがキモ。

殿筋は本来、

👉 接地前に“予測的に”入る

筋だから。


結果

足関節損傷群では:

👉 殿筋の発火が遅延

つまり、

本来
接地前に入るはずの筋が
接地後に反応している。

これは

👉 feedforward制御 → feedback制御への崩壊

を意味する。

要するに:

先回りできない身体

になってる。


なぜ遅れるのか?

足関節損傷で壊れるのは:

  • 靭帯
  • 関節包
  • 機械受容器

ここは感覚センサーの塊。

この入力が弱くなると:

👉 中枢の予測モデルが狂う

結果:

「いつ接地するか分からない」

→ 殿筋が準備できない

→ 着いてから慌てて反応


臨床で何が起きる?

この遅延が意味するのは:

  • 骨盤の瞬間的不安定
  • 股関節剪断増加
  • 腰椎ストレス増加
  • SIJ剪断増加

つまり、

👉 足の感覚障害は骨盤障害を作る

これは力学というより

神経制御の問題


Regional interdependenceとの関係

この論文が重要なのは、

👉 痛みの場所 ≠ 原因の場所

を初期に示した点。

足の感覚変化
→ 股関節筋タイミング異常
→ 骨盤不安定
→ 腰痛

という遠隔連鎖。

WainnerのRegional interdependence(2007)より前に、
もうこの構図は示されていた。


臨床メッセージ

足関節既往がある患者で:

✔ 殿筋が入らない
✔ 片脚支持が弱い
✔ 骨盤が落ちる
✔ SIJが痛い

これは偶然じゃない。

👉 神経回路の再プログラム失敗

だから治療は:

  • 殿筋トレだけ → 不十分
  • 足部感覚再入力 → 必須

結論

Bullock-Saxtonはこう言ってる:

👉 足が壊れると股関節は遅れる

そして遅れた股関節は

👉 骨盤を守れない

ここが
SIJ障害と足部評価をつなぐ橋。

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