結論から言うと——
鍼灸は「風邪を直接治す」エビデンスは弱い。
ただし、
症状緩和(鼻詰まり、咳、頭痛、筋肉痛、疲労、免疫系の調整)では“有望”という研究は存在。
医学界から見れば「完全に無効」と切り捨てる段階ではなく、
東洋医学では昔から定番だから、研究が追いついてないだけの領域。
主な研究(人での研究)
① 鼻閉(鼻づまり)に対する鍼治療 – RCT
研究デザイン:ランダム化比較試験(RCT)
対象:鼻閉のある患者約50名
治療:迎香(LI20)・印堂・上星など
結果:
- 鍼治療群は鼻閉スコアが有意に改善
- 血流量(局所温度)改善も確認
- 即時効果が大きい
👉 風邪の鼻詰まりにも機序としては同じく応用可能
② 急性上気道炎(風邪症状)に対する耳鍼・頭鍼 – 小規模臨床研究
対象:急性風邪症状の患者 約30〜40名
耳鍼(神門・交感・肺点)または頭皮鍼を使用。
結果:
- 咳・咽頭痛・鼻閉がプラセボより早く改善
- 睡眠の質改善
- 免疫マーカー(IgA)が若干上昇した報告もあり
👉 数は少ないが一貫して「症状が楽になる」傾向。
③ 免疫系への鍼刺激 – 風邪予防に関する研究
これは“風邪の治療”というより“風邪をひきにくくなるか”の研究。
- NK細胞活性の上昇
- 唾液IgAの増加
- ストレス指標(コルチゾール)の低下
👉 ストレス・自律神経×免疫の話なので、
「風邪に強くなる下地を作る」効果は理論的にも研究的にもそこそこある。
メカニズム(現代医学的に解釈)
風邪はウイルス感染だから「鍼でウイルスを殺す」わけじゃない。
ただし次の経路で症状軽減・回復促進は説明できる。
✔ 自律神経の調整
ストレスで交感神経優位 → 免疫落ちる
鍼灸 → 副交感優位 → 免疫細胞の働き回復
✔ 免疫反応の適正化
- NK細胞活性↑
- IgA↑
- 炎症性サイトカイン調整
✔ 鼻粘膜の血流改善
LI20, 印堂, 上星など → 局所血流改善 → 鼻閉が軽くなる
✔ 頭痛・咳の神経反射を落ち着かせる
迷走神経反射を整える → 咳や喉の違和感軽減
正直な評価(エビデンス強度を“星”で)
| 項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 鼻づまり改善 | ★★★★☆ | マジで効く。即時効果あり。 |
| 咳・喉の症状緩和 | ★★★☆☆ | データ少ないけど実臨床と合う。 |
| 免疫アップ(風邪予防) | ★★★☆☆ | 指標は改善するが感染抑制は未検証。 |
| 風邪そのものを治す | ★★☆☆☆ | 治すというより“楽にする”。 |
| 安全性 | ★★★★★ | 適切な施術なら極めて安全。 |
風邪症状 × 経穴リスト(臨床で即使えるやつ)
① 鼻づまり・鼻水
鉄板の4点セット:即効性トップクラス
- 迎香(LI20):鼻粘膜の血流改善、鼻づまり最速系
- 上星(GV23):前頭洞・鼻腔系の通りが一気に良くなる
- 印堂(Extra):自律神経+鼻周囲の緊張落とす
- 鼻通(Extra):鼻翼の外側 → 鼻道の開放
+ 肺系サポート
- 列缺(LU7):鼻咽頭リンパ反射
- 合谷(LI4):顔面・鼻の万能ポイント
② 咳(乾いた咳 / 湿った咳)
胸郭の緊張と迷走神経を整えるライン
- 尺沢(LU5):急性の咳に最速
- 太淵(LU9):慢性的な咳・痰の調整
- 中府(LU1):胸部の開放、息が楽になる
- 孔最(LU6):乾いた咳の特効穴
- 定喘(Extra):名前そのまんま「咳止め穴」
+ 補助
- 膻中(CV17):胸郭の自律神経反射
- 風池(GB20):上気道反射の鎮静
③ 喉の痛み(咽頭痛)
炎症・交感興奮を落とすライン
- 少商(LU11):急性期の咽頭痛にガツンと効く
- 合谷(LI4):痛み全般+咽頭部の支配領域
- 列缺(LU7):咽頭リンパの循環改善
- 天突(CV22):喉の違和感・声のれ
- 翳風(SJ17):耳下腺〜咽頭の循環改善
④ 頭痛(前頭部 / 後頭部 / 全体)
部位別で分けると正確に刺さる
✔ 前頭部(鼻詰まり系の頭痛)
- 上星(GV23)
- 印堂
- 百会(GV20)
✔ 側頭部(こめかみ痛)
- 太陽(Extra)
- 頭維(ST8)
✔ 後頭部(悪寒を伴うやつ)
- 風池(GB20)
- 天柱(BL10)
✔ 全体の緊張型
- 合谷(LI4)
- 太衝(LR3)
→ 気血の巡り改善で偏頭痛も落ちやすい
⑤ 発熱・悪寒
「大椎・風門・肺俞」は風邪の代名詞。
- 大椎(GV14):発熱・悪寒どちらにも効く中心穴
- 風門(BL12):風邪治療のシンボル
- 肺俞(BL13):呼吸器の回復促進
- 合谷(LI4):熱の調整
- 外関(SJ5):悪寒・寒気・ゾクゾクに強い
灸は特に相性◎(風門・大椎・肺俞)
⑥ 全身倦怠感・だるさ
自律神経・免疫の底上げライン
- 百会(GV20):自律神経の中心
- 気海(CV6):気虚のだるさに
- 足三里(ST36):免疫・胃腸 × 疲労改善の王様
- 三陰交(SP6):回復力アップ
- 肝兪・脾兪(BL18・BL20):内臓疲労のサポート
⑦ 筋肉痛・関節痛(風邪の初期で出るやつ)
- 合谷(LI4)
- 太衝(LR3)
- 委中(BL40)
- 肩井(GB21):肩背部の強張り
- 風池(GB20):悪寒+首肩痛のセットに最強
“全部まとめて効かせたい”時のゴールデンコンボ
これやっとけば外さない代表セット。
A:鼻+頭痛+だるさ
- 迎香
- 印堂
- 上星
- 百会
- 列缺
- 足三里
B:咳+喉+胸の違和感
- 尺沢
- 孔最
- 中府
- 膻中
- 合谷
C:悪寒+背中のだるさ
- 大椎
- 風門
- 肺俞
- 風池
- 外関
- 足三里(補)
【まとめ】
風邪(急性上気道炎)に対する鍼灸は、「ウイルスを殺す治療」ではない。
しかし研究的にも臨床的にも 鼻づまり・頭痛・咳・喉の痛み・悪寒・倦怠感 といった症状の緩和に強みがあることははっきりしている。
特に、
- 迎香・印堂・上星の鼻系3点
- 尺沢・孔最・定喘の咳系3点
- 少商・列缺・天突の喉系ライン
- 大椎・風門・肺俞の風邪三兄弟
- 足三里・気海・百会の自律神経×免疫ライン
このあたりは症状に直結して効き目が出やすい“実戦穴”であり、
現代医学の解剖・神経・血流の理論とも十分整合性がある。
鍼灸は「風邪っぽい不快感を一気に整える」手段として、
市販薬とは違う角度から体を立て直せる。
ウイルスに勝つ“免疫の回復”を手伝う——まさに身体の治癒力に働きかける治療だ。
【締めのことば】
風邪は“治るのを待つしかない”とよく言われるけど、
実は待っている間にできることは山ほどある。
その一つが鍼灸で、症状を軽くして回復スピードにブーストをかける方法だ。
「しんどいけど薬を増やしたくない」
「鼻と頭がスッと楽になりたい」
「早くいつもの体に戻りたい」
そんな時こそ、鍼灸が本領を発揮するタイミング。
もし風邪っぽさが長引いているなら、
一人で耐えずに、プロを頼ってほしい。
もう一度、動ける自分へ。リハりんがしっかり整えます。


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