胸の「筋膜」が体全体につながっている

筋膜

【前編】筋膜って何? なぜ胸が硬くなると全身に影響するの?

こんな経験、ありませんか?

  • 腕を上げようとすると、首や肩が同時に引っ張られる感じがする
  • 胸が「板のように」硬くなっていて、深呼吸がしにくい
  • 腕のリハビリをしているのに、なかなか動きが改善しない
  • 体の片側だけ、なんとなく縮こまっている感じがある

これらの原因のひとつに、「筋膜(きんまく)」のこわばりがあります。

筋膜(きんまく)とは何ですか?

筋膜とは、筋肉・骨・内臓などを全身で包んでいる「薄い膜」のことです。

イメージとしては、みかんの白い薄皮(じょうのう)がちょうどよいたとえです。みかんの実(=筋肉)を一粒ずつ包みながら、全体もひとつにまとめていますよね。筋膜はまさにそのような役割を担っています。

<筋膜の主な働き>

・筋肉どうしをつなぎ、力をスムーズに伝える

・関節が動くとき、周りの組織が一緒にスライドできるようにする

・体の「形」を整え、姿勢を保つのを助ける

筋膜はつながっている

筋膜は「一か所だけ」にあるものではなく、全身がひとつの膜でつながっています。たとえば、胸の筋膜は首・お腹・背中・腕にまで続いており、どこかが硬くなると離れた場所にも影響が出ます。

「胸が硬い→腕が上がりにくい」「胸が縮む→首が前に出やすい」といった連鎖は、この筋膜のつながりで説明できます。

胸の筋膜(胸筋筋膜)の3つの層

胸の筋膜は大きく3層に分かれています。難しい言葉は使いませんので、ざっくりイメージをつかんでください。

表の層(浅層)

大胸筋(胸の大きな筋肉)の外側を包む層です。肩・背中の筋肉ともつながっており、「胸・肩・背中をひとつに包む帯」のようなイメージです。

ここが硬くなると、肩を後ろに引けなくなったり、背中が丸まりやすくなります。

中の層(鎖骨の下の筋膜)

鎖骨の下にある小さな筋肉たちを包む層です。脇の下(腋窩)の前側もこの層がつくっています。

特に「小胸筋(しょうきょうきん)」という筋肉がここにあり、硬くなると肩甲骨が前に引っ張られ続け、腕が上がりにくくなる大きな原因になります。

深い層(深層)

肋骨のあいだの筋肉を覆う、最も奥にある層です。ここが硬くなると、呼吸のときに胸郭(きょうかく:肋骨で囲まれた胸のカゴ)が十分に広がらなくなります。

「深呼吸がしにくい」「息が浅い」という方は、深い層の筋膜が関係していることがあります。

脳卒中後になぜ胸の筋膜が硬くなるの?

脳卒中後の麻痺側では、筋肉が緊張しやすい状態(痙縮)が続きます。特に胸・腕・肘の内側が縮こまりやすく、次のような姿勢になりがちです。

・肩が内側に巻き込まれる(肩の内旋)

・肘が曲がったまま伸びにくい

・前腕が内側に回ったまま(回内位)

・胸が硬くなり、深呼吸がしにくい

この姿勢が長く続くと、筋肉だけでなく筋膜まで硬くなっていきます。筋膜は筋肉ほど血流が多くないため、一度硬くなると時間をかけてアプローチする必要があります。

前編のまとめ

  • 筋膜は全身をつなぐ「薄い膜」で、どこかが硬くなると遠くにも影響が出る
  • 胸の筋膜は3層構造で、それぞれ別の部位とつながっている
  • 脳卒中後は胸・肩まわりの筋膜が硬くなりやすく、腕・首・呼吸にも影響する

中編では「胸の筋膜が首・お腹・背中とどうつながっているか」をわかりやすく解説します。

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