― 22の研究・903人が示した答え
デスクワークやスマホの時間が長くなると、頭が前に出て、肩が内側に入り、背中が丸くなりやすくなります。
いわゆる「猫背」や「巻き肩」です。
「姿勢が悪いのは生まれつきだから仕方ない」
「気を付けてもすぐ戻ってしまう」
そんな声をよく耳にします。
では、本当に運動で姿勢は変わるのでしょうか。
2024年に発表された大規模な研究のまとめは、この問いに対して前向きな答えを示しています。
この記事の結論
- 運動を続けることで、猫背・巻き肩は改善する可能性が高い
- 特別な「魔法の運動」があるわけではない
- 1つの運動でも変化は期待できる
- ただし、複数の運動を組み合わせた方が効果は大きくなりやすい
- 一番大切なのは「続けること」
運動で姿勢は変わる
2024年に発表された系統的レビュー・メタ解析では、22件の研究、903名のデータが分析されました。
その結果、
- 頭が前に出た姿勢(前方頭位)
- 巻き肩
- 背中の丸まり(円背)
はいずれも運動によって改善していました。
つまり、
「姿勢は変えられないもの」ではなく、「変化する可能性があるもの」
だということです。
特別な運動は見つかっていない
ここで意外な事実があります。
研究では、
- ストレッチ
- 筋力トレーニング
- 肩甲骨の運動
- 姿勢エクササイズ
- 複合的な運動プログラム
など、さまざまな方法が使われていました。
しかし、
「この運動だけが圧倒的に優れている」
という結果はありませんでした。
つまり、
どの運動を選ぶかよりも、
続けられる運動を選ぶこと
の方が重要と考えられます。
1つの運動だけでも意味はある?
これは患者さんからよく聞かれる質問です。
答えは、
「はい。ただし限界もあります」
です。
例えば、
胸のストレッチを続ければ胸の硬さは改善しやすくなります。
あご引きを続ければ頭が前に出る姿勢は改善しやすくなります。
肩甲骨の運動を続ければ巻き肩の改善が期待できます。
つまり、
1つの運動でも変化は起こり得ます。
ただし、猫背や巻き肩は1つの原因だけで起きているわけではありません。
胸の硬さもあれば、首の筋力低下もあり、肩甲骨の動きの問題もあります。
そのため、
1つだけより、2〜3種類を組み合わせた方が効果は出やすい
と考えられています。
なぜ運動で姿勢が変わるのか
猫背や巻き肩にはさまざまな要因があります。
- 長時間のデスクワーク
- スマホ操作
- 運動不足
- 疲労
- 生活習慣
などです。
その中でも重要なのが筋肉のバランスです。
猫背や巻き肩では、
短くなりやすい筋肉
- 大胸筋
- 小胸筋
- 胸鎖乳突筋
- 肩甲挙筋
弱くなりやすい筋肉
- 深層頸屈筋
- 中部僧帽筋
- 下部僧帽筋
- 前鋸筋
などが知られています。
運動によって、
縮んだ筋肉を伸ばし、
働きにくくなった筋肉を鍛えることで、
姿勢を保ちやすい状態へ近づいていきます。
自宅でできる簡単メニュー
※以下の運動は、この研究で使われた特定のプログラムではありません。研究で効果が報告された運動の共通点をもとに、自宅で取り組みやすい内容として紹介しています。
胸の前のストレッチ
壁や戸口に前腕を当てます。
片足を一歩前へ出し、
胸の前が心地よく伸びる位置で止めます。
20〜30秒 × 2回
あご引き
背筋を伸ばして座ります。
あごを真後ろへ引いて、
軽い二重あごを作ります。
5秒保持 × 10回
肩甲骨寄せ
肩をすくめず、
肩甲骨を背骨へ近づけます。
5秒保持 × 10回
もし1つだけやるなら?
「全部やるのは大変」
という方もいると思います。
そんな場合は、
まずはあご引き運動から始めるのがおすすめです。
- 道具がいらない
- 場所を選ばない
- 高齢の方でも行いやすい
- 前方頭位に直接アプローチできる
という利点があります。
そして余裕が出てきたら、
胸のストレッチを追加する。
さらに肩甲骨の運動を追加する。
そんな形で十分です。
最初から完璧を目指す必要はありません。
姿勢と痛みは別問題
もう一つ大切なことがあります。
この研究が示したのは、
「姿勢の角度が改善した」
ということです。
一方で、
「姿勢が良くなれば痛みが必ずなくなる」
とまでは言えません。
実際には、
- 猫背でも痛くない人
- 姿勢が良くても痛い人
がいます。
痛みには、
- 筋肉
- 関節
- 神経
- 睡眠
- ストレス
- 活動量
など多くの要素が関係するためです。
姿勢は大切ですが、それだけがすべてではありません。
リハりんから
姿勢改善で大切なのは、完璧な姿勢を目指すことではありません。
今より少し動きやすくなること。
疲れにくくなること。
痛みが出にくくなること。
その積み重ねが日常生活の快適さにつながります。
リハりんでは、運動療法に加えて頭皮鍼や動作を組み合わせながら、姿勢だけでなく体の使い方にも着目したサポートを行っています。
「何をやればいいかわからない」
「一人では続かない」
そんな方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
Sepehri S, et al.
The effect of various therapeutic exercises on forward head posture, rounded shoulder, and hyperkyphosis among people with upper crossed syndrome: a systematic review and meta-analysis.
BMC Musculoskeletal Disorders. 2024;25:105.
※この記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。


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