三叉神経が、脳の血流を増やすしくみ

脳出血

“顔と頭の神経”が、脳を助ける道すじ

第1回でお伝えした「脳血流」のお話を、もう一歩くわしく見ていきます。

前回は、頭皮への鍼が脳卒中の回復を助けるのは「脳の血流を増やすから」とお伝えしました。今回のテーマは、その“どうやって?”です。主役になるのは、三叉神経(さんさしんけい)という神経です。

 三叉神経って、どんな神経?

三叉神経は、顔やおでこ、こめかみ、頭皮の前半分の感覚を脳に伝える、とても大きな神経です。頭皮鍼でよく使う場所の多くは、ちょうどこの三叉神経が担当しているエリアに重なります。

 神経が「血管を広げるスイッチ」になる

三叉神経には、感覚を伝えるだけでなく、脳の血管の“広がり具合”を調整する働きがあります。鍼で三叉神経が刺激されると、血管をゆるめる物質(代表的なものがCGRPと呼ばれる物質です)が出て、脳の血管が広がり、血流が増えます。

この“血流を増やす”働きには、大きく3つの道すじがあると考えられています。

脳の血流が増える3つの道すじ
① 直接ルート:刺激された神経の先から血管を広げる物質が出て、近くの脳血管がゆるむ。
② 顔面神経を介すルート:三叉神経の刺激が別の神経(顔面神経)に伝わり、血管を広げる方向にはたらく。
③ 脳の中枢を介すルート:脳の奥にある調整センターが反応し、全身と脳の血流バランスを整える。

 だから「頭の前のほう」がよく選ばれる

頭皮鍼で前頭部や生え際の近くがよく使われるのは、そこが三叉神経の“受け持ち”だからです。神経のつながりという観点から見ると、これらの場所が選ばれてきたことには、ちゃんと理由があるのです。

 「動かしながら」が効くわけ(MSSA)

リハりんが取り入れている動作式頭皮鍼(MSSA)は、頭皮への鍼で脳の血流が高まっている“その状態”で、実際に手足を動かしてもらう方法です。血のめぐりが良くなった脳に、動きの練習という刺激を重ねることで、脳が動きを学び直すお手伝いをするねらいがあります。

大切にしていること
効果には個人差があります。鍼だけで治すというものではありません。主治医・ケアマネジャーと連携し、リハビリ全体の一部として行います。
気になる症状や持病があるときは、まず担当の医療職にご相談ください。

 まとめ

頭皮鍼が脳の血流を増やす主役は三叉神経。その刺激が3つの道すじを通って脳の血管をゆるめ、血のめぐりを助ける――今回はその“しくみ”をご紹介しました。次回は「なぜ、その場所の鍼が選ばれるのか」をもう少しくわしくお話しします。

※ 本記事は研究内容の紹介であり、特定の効果を保証するものではありません。治療の判断は担当の医療職とご相談ください。

出典Jin GY ほか. Neural control of cerebral blood flow: scientific basis of scalp acupuncture in treating brain diseases. Front Neurosci. 2023;17:1210537.DOI: 10.3389/fnins.2023.1210537 / PMID: 37650106

リハりん 訪問リハビリ・鍼灸 | pacupuntura.com | riharin.kk@ gmail.com

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