鍼灸はなぜ効くのか?【第3回】
自律神経と鍼灸の話
監修:理学療法士・鍼灸師 金野広大(リハりん)
「鍼を受けた日はよく眠れる」
「施術中に眠ってしまった」
そんな経験をされた方は少なくありません。
実はこれには気のせいではなく、神経学的な理由があります。
今回は鍼灸と深い関係がある「自律神経」について解説します。
自律神経とは?
私たちの体は、意識しなくても
- 心臓が動く
- 呼吸する
- 血圧を保つ
- 胃腸を動かす
といった働きを続けています。
これらを調整しているのが自律神経です。
自律神経は大きく2つに分かれます。
交感神経
活動モードの神経です。
- 緊張
- ストレス
- 運動
- 興奮
のときに働きます。
いわば体のアクセルです。
副交感神経
休息モードの神経です。
- 睡眠
- リラックス
- 消化
- 回復
のときに働きます。
こちらは体のブレーキです。
現代人はアクセルを踏みっぱなし
仕事
スマホ
睡眠不足
人間関係
慢性的な痛み
こうした刺激が続くと交感神経が優位になります。
すると
- 寝つけない
- 疲れが取れない
- 肩がこる
- 血圧が上がる
- 胃腸の調子が悪い
といった状態が起こりやすくなります。
鍼をすると何が起きるのか?
鍼は皮膚や筋肉に存在する感覚受容器を刺激します。
特に重要なのが
- Aδ線維
- C線維
と呼ばれる感覚神経です。
刺激された情報は
皮膚・筋肉
↓
末梢神経
↓
脊髄
↓
脳幹
↓
視床下部
へ伝わります。
ここで重要なのが、
脳幹と視床下部は自律神経の司令塔である
という点です。
つまり鍼は筋肉だけでなく、自律神経中枢へ情報を送っている可能性があります。
視床下部とは?
視床下部は
- 睡眠
- 体温
- 血圧
- 食欲
- ホルモン分泌
などを管理している脳の中枢です。
ストレスを受けると
視床下部
↓
下垂体
↓
副腎
という
HPA軸
が活性化します。
するとコルチゾールなどのストレスホルモンが増加します。
近年の研究では、
鍼刺激がこのHPA軸の過剰な活性化を抑制する可能性が報告されています。
心拍変動(HRV)とは?
最近の鍼研究で頻繁に登場するのがHRVです。
HRVとは
Heart Rate Variability(心拍変動)
のことです。
例えば心拍数60回/分でも
1秒
1秒
1秒
と打っているわけではありません。
実際には
0.9秒
1.1秒
0.95秒
1.05秒
のように常に変動しています。
この変動幅が大きいほど、
副交感神経がしっかり働いていると考えられます。
鍼とHRVの研究
近年のメタ解析では、
鍼刺激後に
- HF成分増加→ 迷走神経(副交感神経)の活動を反映すると考えられています。
- LF/HF比低下→ 自律神経バランスの参考指標として使われています。
が認められています。
これは一般的に
- 副交感神経活動増加
- 交感神経活動低下
を示唆します。
つまり鍼は、
単なるリラックスの気分ではなく、
実際に自律神経指標を変化させる可能性があるのです。
なぜ眠くなるのか?
副交感神経が優位になると
- 心拍数低下
- 血圧低下
- 呼吸数低下
が起こります。
体は
「戦うモード」
から
「休むモード」
へ移行します。
その結果として、
施術中に眠くなる人が多いのです。
これは副作用ではなく、
神経系が回復モードへ切り替わったサインと考えられます。
睡眠との関係
近年では鍼灸が
- 不眠症
- 睡眠障害
- ストレス関連症状
に有効である可能性を示す研究も増えています。
もちろん万能ではありません。
しかし睡眠薬とは異なり、
神経の働きを整えることで自然な睡眠をサポートする可能性があります。
慢性痛にも関係する
実は慢性痛の方の多くは
- 睡眠不足
- ストレス
- 自律神経の乱れ
を抱えています。
そのため近年の慢性痛治療では、
痛みだけでなく自律神経を整えることも重要視されています。
鍼灸が慢性痛治療に活用される理由の一つもここにあります。
まとめ
鍼灸は単に筋肉や患部だけに作用する治療ではありません。
神経を介して自律神経にも働きかけ、
- 緊張を和らげる
- リラックスを促す
- 睡眠をサポートする
可能性があります。
施術後に眠くなるのは、
体が回復モードに切り替わったサイン
なのかもしれません。
ご相談は公式LINEまたはHPのお問い合わせまで😁



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