「体にいい食事」とよく聞きますが、慢性的な痛みを抱える方にとって、具体的に何を食べると良いのでしょうか。最新の研究をもとに、実践しやすいポイントをまとめました。
① 炭水化物は「質」を意識する
砂糖の多い食品や超加工食品(コンビニのお菓子、インスタント食品など)は避け、血糖値が上がりにくい低GIの食品を選ぶようにしましょう。血糖値が慢性的に高い状態は、神経の痛みに対する感受性を高めてしまうことがわかっています。
- 白米よりも玄米や雑穀米
- 白パンよりもライ麦パン
- 甘い菓子・清涼飲料水を控える
※GI(グリセミック指数)
食品が血糖値をどれくらい速く上げるかを示す指標です。
- 高GI:血糖値が急上昇しやすい(白米、白パン、うどん、砂糖など)
- 低GI:血糖値が緩やかに上がる(玄米、全粒パン、豆類、野菜など)
慢性痛との関係では、高GI食品を繰り返し食べると慢性的な高血糖状態になり、酸化ストレス・炎症が増して痛みの感受性が上がります。
② 脂質は「種類」を選ぶ
脂質は悪者ではありません。大切なのは種類です。
- オメガ3脂肪酸を含む青魚(サバ・イワシ・サンマなど)を週2〜3回取り入れる
- 調理油はエクストラバージンオリーブオイルを基本に
- 飽和脂肪酸の多い脂身の多い肉、バター、揚げ物は控えめに
オメガ3脂肪酸には、イブプロフェン(鎮痛薬)に似た抗炎症・鎮痛効果があるとする研究もあります。
③ たんぱく質は「加工度の低いもの」を
- 赤身肉・加工肉(ウインナー、ハム)は少なめに
- 大豆製品(豆腐、納豆、豆類)やナッツ類を活用する
- 青魚はたんぱく源としても優秀
④ 乳製品はヨーグルトを積極的に
ヨーグルトはプロバイオティクス(腸内の善玉菌)を含み、腸内環境を整えるのに役立ちます。腸内環境の乱れ(腸内細菌叢の不均衡)が慢性痛の悪化に関係することが研究で示されています。
⑤ 野菜・果物は1日4〜5皿を目安に
野菜と果物には抗酸化物質やファイトケミカルが豊富で、体の酸化ストレスや炎症を抑える働きがあります。
- 色とりどりの野菜を意識して取り入れる
- 過敏性腸症候群のある方は高FODMAP食品(玉ねぎ、りんごなど)に注意
※FODMAP
腸内で発酵しやすく、消化吸収されにくい糖質の総称です。
| 種類 | 主な食品 |
|---|---|
| フルクトース | りんご、はちみつ、果汁 |
| 乳糖 | 牛乳、ソフトチーズ |
| フルクタン | 玉ねぎ、小麦、にんにく |
| ポリオール | 桃、アボカド、キシリトール |
腸内細菌にこれらが大量に届くとガス産生・浸透圧変化が起き、腹痛・下痢・膨満感が出やすい人がいます(特にIBS=過敏性腸症候群の方)。低FODMAP食はこれらを一時的に制限し、腸内環境を落ち着かせる食事法です。
⑥ 飲み物は「水」を基本に
- 1日1.5〜2リットルの水を目安に
- アルコールは控えめに(慢性痛スコアとの関連が報告されています)
- コーヒー・カフェインも過剰摂取は避ける
食事パターン全体を見直すことが大切
個々の食品よりも、食事全体のパターンを変えることが重要です。証拠が豊富な食事パターンとして以下が挙げられます:
- 地中海食:野菜・果物・オリーブオイル・魚・ナッツを中心とした食事。抗炎症作用が高く鎮痛効果も期待できる
- ベジタリアン・ヴィーガン食:抗酸化物質・ファイトケミカルが豊富
- 除去食(低FODMAP食など):特定の食品を食べるとお腹の調子が悪くなりやすい方に向いている食事法。腸内環境を整えることで、腸から脳への炎症シグナルを減らし、痛みの悪化を防ぐことが期待できる
食事の見直しは、薬やリハビリと組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。「まず1週間、魚を増やしてみる」など、できることから始めてみてください。
【参考文献】Elma et al., Brazilian Journal of Physical Therapy, 2024



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