脳画像研究から見た「改善の可能性」と現実的な見方
脳卒中のあとに、
「言葉が出にくい」
「相手の話が理解しにくい」
「物の名前が出てこない」
「会話が続かない」
といった症状が残ることがあります。これを失語症といいます。
近年、失語症に対して鍼灸がどのように関わるのか、脳画像を使った研究が行われています。
2022年に発表されたシステマティックレビューでは、脳卒中後失語症に対する鍼灸研究16本がまとめられました。対象は失語症患者546名、健常者96名です。
では、鍼灸で何がどれくらい良くなるのでしょうか?
結論から言うと、
「何点改善する」と断言できる段階ではありません。
ただし、改善が報告されている項目はあります。
改善が報告されているもの
研究では、主に以下のような言語機能の改善が報告されています。
① 発話
言葉を出す力、自発的に話す力です。
特にBroca失語のように「言いたいのに言葉が出ない」タイプでは、Broca領域周辺の脳活動変化が報告されています。
② 呼称
物の名前を言う力です。
「これは何ですか?」に対して、正しく名前を出せるかどうか。失語症リハビリではかなり重要な項目です。
③ 復唱
聞いた言葉を繰り返す力です。
研究では、復唱スコアと脳の白質指標との関連も報告されています。
④ 聴理解
相手の話を理解する力です。
一部研究では、聴理解と側頭葉周辺の脳活動との関連が示されています。
⑤ 読み書き
読む、書く、計算といった機能についても、改善や脳画像指標との関連が報告されています。
どれくらい良くなるのか?
ここは正直に言います。
このレビュー論文では、研究ごとの詳しい点数変化、たとえば、
「WABが何点から何点になった」
「CRRCAEが何点改善した」
「改善率が何%だった」
という形では、全研究分の数値は整理されていません。
つまり、現時点でこの論文から言えるのは、
鍼灸を加えることで、発話・理解・呼称・復唱・読み書きなどに改善が報告されている。ただし、改善量にはばらつきがあり、明確な平均値は示せない。
ということです。
ここを盛ると一気に怪しくなります。
医療系ブログで一番やっちゃダメなやつです。
鍼灸だけで治るのか?
これもはっきり言います。
鍼灸だけで失語症が治るとは言えません。
失語症改善の中心は、あくまで言語療法やリハビリです。
鍼灸は、それらを支える補助的な選択肢として考えるのが現実的です。
ただし、鍼灸後に言語関連領域の活動や脳ネットワークの変化が報告されている点は注目できます。
鍼灸が役立つ可能性がある場面
臨床的には、次のような方で鍼灸を組み合わせる意味があります。
- 言葉が出にくい
- 発話量が少ない
- 疲れやすくリハビリに集中できない
- 緊張が強い
- 睡眠や自律神経の乱れがある
- リハビリの効率を高めたい
鍼灸は「言葉を直接作る治療」ではありません。
しかし、脳や身体の状態を整えることで、リハビリに取り組みやすくなる可能性があります。
まとめ
脳卒中後の失語症に対する鍼灸研究では、
- 発話
- 呼称
- 復唱
- 聴理解
- 読み書き
- コミュニケーション能力
などの改善が報告されています。
ただし、現時点では「何点改善する」と断言できるほど強い証拠ではありません。
大切なのは、
鍼灸かリハビリかではなく、リハビリに鍼灸をどう組み合わせるかです。
失語症は、あきらめるには早い症状です。
脳には変わる力があります。
リハりんでは、脳卒中後遺症に対して、
訪問リハビリ × 鍼灸の視点からサポートしています。



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